部会活動報告
 
 生 物 多 様 性 部 会


   開催日   議題 / 講師 / 内容
第26回 H27.10.30 「生物多様性分野を中心としたESD(持続可能な開発のための教育)の現状と
 2030年に向けた課題」
 
 講師:鈴木 克徳氏(金沢大学環境保全センター長・教授)
 
 生物多様性分野を中心としたESDに関する現状と、2030年に向けた課題について、国内外の動向や金沢大学におけるESD推進事例を踏まえ、ご講演頂きました。主な内容は以下の通りです。
 本年9月の国連総会で、2030年に向けて、「持続可能な開発目標(
SDGs)」が採択された。この開発目標には生物多様性保全を意識した内容も含まれており、国際的にも生物多様性保全が重要な課題となっている。
 この開発目標を受け、日本においても地域社会の活性化や
SDGsの着実な履行等に取り組まなければならないが、そのためにはESDの果たす役割が大きい。日本は、国連「持続可能な開発のための教育の10年」を提唱し、ユネスコスクール制度の活用などによりESDを進めてきたが、教職員の理解が不十分などの理由から普及が進まず、ESDに関する社会的認知度も未だに低い状態にある。しかし現代社会が直面する答えのない課題に対応していくにはESDにより身につけることのできる「新しい答えを創り出す力」や「他者と協働・協調できる力」が必要であり、今後もESDのセカンドステージを推進していく必要がある。
  ESD
は、学校における生物多様性教育の推進に努めており、特に、生物多様性の専門家と学校の教員とをつなぐことに尽力してきた。
 金沢大学は、学生に対する体系的な
ESD教育の推進、ESD推進に向けた各種の研究、ユネスコスクールの量的拡大、質の向上に向けた支援、北陸ESD推進コンソーシアムを通じた地域貢献活動などを推進している。
第25回 H27.9.30








「近畿圏広域地方計画の骨子について 〜関西の目指す姿と戦略〜」
 講師:藤原敏晴氏(国土交通省 近畿地方整備局企画部技術企画官)

 2030年の生物多様性保全分野における課題を想定するにあたり、理解しておく必要のある「近畿圏の広域地方計画の骨子」について、「国土のグランドデザイン2050」を踏まえ、ご講演頂きました。主な内容は以下の通りです。
<国土のグランドデザイン2050について>

・現在、我が国は急速に進む人口減少と少子化・異次元の高齢化と巨大災害の切迫という大きな課題に直面している。この課題に対応するための
 基本的な考え方が「コンパクト+ネットワーク」であり、多様性を持つ複数のコンパクトな地域同士の連携により、人・モノ・情報等の交流を
 促進していく必要がある。また、巨大災害という課題に対しても、災害に強い国土づくりが求められている。

・この基本的な考え方の実現に向けた基本戦略として、都市機能を集約したコンパクトシティの形成とそれらを連携させ高次地方都市連合等の構
 築や三大都市圏をリニア中央新幹線で結んだスーパーメガリージョンによる新たな価値の創造、日本海と太平洋の2面活用型国土の形成等があ
 る。

・このような考えのもと、目指すべき国土の姿が、実物空間と知識・情報空間が融合した「対流促進型国土」であり、数多くの小さな対流が創発
 を生み出し、大きな対流へとつながっていく。

<近畿圏広域地方計画の骨子について>

・関西においても、少子高齢化や東京一極集中の進展、自然災害リスクの高まり、外国人旅行者の増加、社会資本の老朽化などの多くの課題があ
 り、手をこまねいていれば関西の将来は厳しい。関西は今後、「豊かな歴史・文化」や「知と産業の集積」などの強みを活かし、アジアのゲー
 トウェイを担い、我が国の成長エンジンとなるとともに、歴史・伝統文化の集積を活用した国際観光の推進、災害に強く快適で生き生きと暮ら
 せる圏域づくり、「人と自然が共生する持続可能な世界的環境先進圏域」を目指していくべきである。

・そのため、5つの「関西の目指す姿と戦略」のもと、環境共生プロジェクトを含めた8つの「主要プロジェクト(案)」により、関西にふさわ
 しい計画づくりをしていく。
第24回 H27.2.5
西田氏




橋氏




これからの生物多様性保全活動を考える会(第3回)
「市民団体における専門性の向上と組織マネジメントについて
  〜生物多様性保全活動の活性化に向けて〜」

講演@「生物多様性保全に取り組む市民団体の専門性向上について」
  講師:西田貴明氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社副主任研究員、徳島大学環境防災研究センター客員准教授)
・生物多様性保全に取り組む市民団体に求められるスキルとしては、保全技術の他、法律・規制・政策の分析、戦略的プランニング、マーケテ
 ィング、調整、資金調達等の能力があげられるが、もっとも重要なのは、「経験を積むこと」であると思われる。

・毎年開催している『生物多様性協働フォーラム』の運営を通じて感じるのは、今後、生物多様性保全活動を活性化していくには、行政、企
 業、市民団体の連携を一層促進する必要があるということである。それには、多様な主体が交じり合う場づくりやコーディネーターの育成が
 不可欠であると考える。

・社会心理学において、人々の生物多様性保全に係る「行動意図」は、「コスト感」よりも「社会規範」から影響を受けるところが大きいとい
 う研究結果がある。自分の周りの人が生物多様性保全に係る行動をとれば、自らも同様の行動をとる傾向があるということである。こうした
 ことにも注目したい。


講演A「市民団体の組織マネジメント」

  講師:橋太一郎氏(大阪NPOセンター認定NPOコンサルタント、高橋アグリビジネスクリニック代表、近畿大学農学部非常勤講師)

・組織のマネジメントとは、目標を掲げ、目標に向かって活動を行い、結果に対して検証を行う仕組みを作り上げることであると言える。具体
 的には、目標設定、活動内容、結果の検証を組織内部でディスカッションし、結論を共有することが必要であると考える。

・また、社会の変化に対応してミッションを変革していくことも重要である。社会変化のスピードが速まる中、今まで以上に、社会の変化を敏
 感に捉え、外部組織と連携していくことが必要となっていると考える。

・生物多様性保全に取り組む市民団体も、以上のような点に留意し、活動をすいしんすることが望ましいと思う。


対 談
 西田貴明氏、橋太一郎氏
 ファシリテータ:佐久間大輔氏(関西自然保護機構運営委員、大阪市立自然史博物館主任学芸員)

・今後、生物多様性保全活動を活性化していくには、地域の活性化とも連携していくことが1つの方向性として考えられる。しかしながら、生
 物多様性保全に取り組む市民団体と、地域活性化の担い手のニーズは必ずしも一致しないのが現状である(双方の目的を突き詰めると、前者
 は生物多様性保全であるのに対し、後者は基本的に経済的利益である)。したがって、両者が連携を図る場合には、互いに自らのミッション
 や目標等を明確しながら進める必要がある。

・また、生物多様性保全に取り組む市民団体が、地域において必要と考えられる保全策を、行政の政策として実現するためには、政策アントレ
 プレナー(新たな政策等を提案し、その実現に向けて調整する人)的な能力を、自ら身につけることも必要になってくると考えられる。

第23回 H26.10.8 「奈良の生物多様性と大台ケ原・大峯山ユネスコエコパーク」 
   講師:松井 淳氏(奈良教育大学 教授)
・奈良では、「生物多様性なら戦略」に基づいて生物多様性保全活動を推進中。
 課題は、@生物多様性に関する情報収集および集積体制が脆弱であることA分類学分野の有識者が不足していることBボランティアのネット
 ワークのみでは解決できないこともあり、県のセンター(自然系博物館)が必要と考えられること、等である。

・ユネスコエコパークは、良好な陸上・沿岸・海洋生態系を中心として、持続可能な人間活動が営まれる周辺地域を含むモデル地域のこと。生
 態系および生物多様性の保全と持続可能な利活用の調和を目的とするとともに、地域における持続可能な開発のための学習サイトでもある。
 平成266月時点の世界の登録数は、119カ国631地域であり、日本では「大台ケ原・大峯山」等7地域が登録している。

・大台ケ原・大峯山は、30年前は高山植物にあふれていた。しかしながら、近年は、シカの食害等により、高山植物のみならず森林全体に被害
 が及んでいる。生物多様性の保全・利活用は、地域の人々によって進められているが、エコパークの枠組みをうまく活用して、こうした取組
 みを一層推進する必要がある。
 
第22回 H26.6.4



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「愛知目標達成に向けたわが国の取組みの現状と課題」
   講師:道家哲平氏(公益財団法人日本自然保護協会 国際部門/
           国際自然保護連合日本委員会 事務局

 自然保護に関する世界最大のネットワーク・IUCNの日本委員会の国際担当である講師から、愛知目標達成に向けたわが国の生物多様性保全の取組みの進捗状況、ならびに、産官学民各々の主体が今後取り組むべき事項について伺いました。
・愛知目標(COP10で採択された生物多様性に関する2020年までの20の新たな世界目標)の達成に向けて、日本でも、政府が『生物多様性国家戦
 略20122020』を策定したほか、生物多様性地域戦略の策定、生物多様性自治体ネットワークや生物多様性民間参画パートナーシップの発足な
 ど、産官学民において、さまざまな取組みが進められた。われわれIUCNも、愛知目標達成に向けた行動を、産官学民のあらゆる主体に呼びかけ
 る『にじゅうまるプロジェクト』に取り組んでいる。

・今年(2014年)10月、韓国のピョンチャンで開催されるCOP12では、中間評価が行われる予定だが、日本の現状を見ると、さまざまな仕組みが
 でき、産官学民それぞれの取組みは進み始めたが、これがそのまま愛知目標達成につながるものとなっていくのかというと、十分とは言えない
 ように思われる。

・わが国においては、これまでは、どちらかというと各主体の自主性を尊重した取組みが中心であったが、今後は、COP12でまとめられる中間評
 価も踏まえ、産官学民が、いつまでに、何をすべきかを明確にし、それを実行することが必要と考える。

・また、国同士が議論するCOPとは別に、産官学民が参加し、「生物多様性のオリンピック」とも呼ばれている「IUCN世界自然保護会議」の第7
 回会議が、2020年に開催される予定である。この会議を是非日本に誘致し、国内に生物多様性保全活動の大きなうねりを作り出したいと考えて
 いる。
第21回 H26.3.11

「都市における水辺の生態系再生 ―大阪の海と川のエコロジー―」
  講師:矢持 進氏(大阪市立大学大学院工学研究科教授)

 
2004年から大阪湾の水質一斉調査を実施してきた。その結果、湾奥部の陸に近い部分は、今も窒素濃度が比較的高いが、排出規制の効果もあ
 り、湾の中央部、南部の水質はきれいになっている。(水質の二極化)

・しかしながら、湾の中央部、南部では、魚介類、海藻の量は必ずしも増えていない。原因としては、水質に関連して必ずしも栄養が充分とは言
 えないこと、逆にバクテリアが無機態に分解できないため海藻等が取り込めない難分解性窒素が増えたこと、稚魚が生育する浅場が少ないこと
 などが考えられる。

・このため、人工干潟・湿地が造成された阪南2区や南港野鳥園、大和川河口部で試験的に研究を実施し、魚介類の増加等一定の成果を確認して
 いる。

・大阪湾では、これまで水質の改善のために排出規制を実施してきたが、上記のような水質の二極化の緩和、生物多様性保全という観点からは、
 状況に応じた見直しの必要性があるかもしれない。ただ、生物の生態は一様ではなく、仮に排出規制を緩和した場合、大きな影響を受ける種も
 あるので、更なる研究が必要である。

・また、海岸線の大部分は垂直護岸と消波ブロック護岸であり、人々が渚を訪れる機会が非常に少なくなっている。そういった機会の創出につい
 ても進める必要があると思う。
 
第20回 H26.1.15  これからの生物多様性保全活動を考える会(第2回)
「クラウドファンディングの可能性 −環境活動における活用方法−」
   講師:岡本 真氏(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 代表取締役、
                 オーマ株式会社 代表取締役)
 
 新たな資金調達の手法として今注目を浴びるクラウドファンディング(ネット募金)。
 今回は、クラウドファンディング「READYFOR?」の運営会社・オーマ株式会社代表取締役の岡本真様からお話を伺い、その後全員で意見交換しました。

・「READYFOR?」は、20114月にオープンし、既に500件近いプロジェクトを手掛けている。そのうち7割が目標とする資金(=支援金)を集め
 ており成功率が高いこと、社会性・公益性の高い活動の支援金集めに多く利用されていることなどが特徴である。行政関係の活用実績もある。

・クラウドファンディングでの支援金集めに成功するには、@そのプロジェクト自体が人々の共感を得ることAそのプロジェクトの実行者が人々
 の共感を得ることの、いずれもが非常に重要である。

 @については、社会性・公益性が高いものが、より人々の共感を得やすい。また、震災や図書館に対する支援に関しては、人々が支援の必要性
  について理解しやすいため、支援金が集まりやすい傾向にある。

 Aについては、プロジェクト実行者の直接の知り合いの共感・支援も必要だが、直接の知り合いのそのまた知り合いといった人的ネットワーク
  からの共感・支援がより重要である。その中に社会的に影響力の大きい人物がいると、「あの人が支援するなら私も」といった形で共感・支
  援が拡大する。この点においては、FacebookTwitterの活用が効果的である。

・生物多様性保全活動も含めた環境活動が人々の共感を得るには、まず、環境に関する情報やプロジェクトが、人々にとって理解しやすいもので
 ある必要がある。次に、環境活動は、「活動」という全体のイメージで扱われることが多いため共感しづらいように思う。したがって、例えば、
 誰か適当な人をPRパーソンとして立て、その人に光を当て、ヒューマンストーリーとして情報発信するなどすれば、感情移入・共感されやす
 いのではないか。
第19回 H25.11.19
宮崎氏



常俊氏


 これからの生物多様性保全活動を考える会(第1回) 
「生物多様性保全活動の活性化に今何が必要か?」
   講師:宮崎俊一氏(乙訓の自然を守る会 代表)
     常俊容子氏(本山寺自然環境保全地域を考える協議会)

・生物多様性保全に取り組む市民団体の連携組織である「生物多様性かんさい」との共催で、各団体が抱える課題の解決や、今後の生物多様性保
 全活動の一層の拡大・活性化につなげていくことを目的に、初めて開催しました。
・上記の2団体から、各々の取組みや課題について報告していただき、その後、出席者全員で意見交換を行いました。

  @
「生物多様性保全活動の活性化に今何が必要か?」(宮崎俊一氏)
  A
「大阪のシカと森とヒトの事情」(常俊容子氏)
・宮崎氏からは、乙訓の自然を守る会が行っている、調査、自然観察会、自然保護など幅広い活動についてご紹介いただくとともに、課題は、地
 元の生物多様性が危機に瀕していることを市民の皆様に理解していただくことや、行政の協力を十分得ること等であると伺いました。

・また、常俊氏からは、大阪府におけるシカによる被害の状況と対策の困難さ等を、本山寺自然環境保全地域を考える会の活動などとともにご紹
 介いただいた後、今後の課題は、植生保護やシカ個体数のコントロールに関する有効な対策の導入と、農林業者・国・自治体・団体・市民等関
 係者間の合意形成であることなどを伺いました。

・その後の意見交換では、今後、生物多様性保全活動を一層拡大・活性化していくためには、行政や企業、そして市民のさらなる理解と協力を得
 ることが必要であるとの共通認識のもと、それをどのように進めていくか等を中心に話し合いました。
第18回 H25.10.30 「関西地域におけるカワウの現状と対策」
  講師:亀田佳代子氏(滋賀県立琵琶湖博物館 専門学芸員)
・環境省、関西広域連合、滋賀県のカワウ保護管理計画の策定などに関わってきた亀田氏から、関西地域を中心に、カワウの個体数の変遷とその
 要因、カワウによる被害状況、対策としての保護管理(「希少種の保全」と「増加した鳥獣による被害軽減」の両立)計画などについて伺いま
 した。

・その後の意見交換では、カワウによる深刻な被害の状況に鑑み、保護管理計画の推進が急務であることは言うまでもないが、同時に、

 ・誰でも名前を聞いたことがある比較的なじみのあるカワウが、内水面漁業や森林に影響を及ぼしていることを通じて、一般の方にも、人間と
  生物の関係、生物多様性の問題について考えていただく機会とすることはできないか。

 ・今のところ人間にとってマイナス面ばかりが目立つカワウであるが、人間にとってプラスに働くような方策のアイデアを見出すことはできな
  いか。

といった意見も出ました。
 
第17回 H25.9.30 「震災復興と生物多様性」
  講師:河田雅圭氏(東北大学大学院生命科学研究科教授)
 東北地方において、生態系に配慮した復興事業に取り組んでいる講師から、震災が生物多様性に与えた影響、震災復興と生物多様性、他地域への示唆などについて、以下の通り伺いました。
・震災に伴う津波等が東北地方の生物多様性に与えた影響は一様ではなく、個々の場所、生物などによってさまざまである。これまでのモニタリ
 ング調査の結果を見ると、当初大きな被害を受けた生態系の中には、既にある程度回復しているところもある。

 生物多様性に与える影響は、災害よりも、むしろ気候変動や災害復旧など人為的要因の方が大きいと言えるかもしれない。

 例えば、既に計画されている強靭な防潮堤なども、人命重視の観点からは必要と考えられるが、生物多様性保全の観点からはマイナスに働く可
 能性が高い。

・東北地方は、古くから農業・漁業との関わりが深く、生態系サービスの恩恵を多く受けてきた地域である。このことから、この地域の人々に
 は、生物多様性や生態系サービスが自らの暮らしにおいて重要であることを改めて理解していただいたうえで、今後の復興の方向性について考
 えていただきたいと思う。

・また、関西地域を含め他地域においても、今後、災害対策が進められていくと思うが、同様に、災害そのものよりも、災害対策も含めた人為的
 な要因が、生物多様性や生態系サービスに、より大きな影響を与える可能性があることを念頭に置くことが望ましいと考える。
第16回 H25.8.28
FSC

MSC


「生物多様性保全につながる認証制度について」*第80回循環社会技術部会との合同
  講師:岩瀬泰徳氏(FSCジャパン事務局)
     石井幸造氏(MSC日本事務所 プログラムディレクター)
   
・森林や海洋の保護、生物多様性の保全に資する国際的な認証制度である、FSC、MSCについて、各々を所管する組織の方から、その概要や
 課題などについて伺った後、部会メンバーとの間で意見交換を行いました。
・FSC、MSCは、持続可能な森林経営や漁業などに基づく商品に認証が与えられる制度で、消費者が認証商品を購入することによって、その
 関連の森林や海洋の保護、生物多様性の保全につながるものです。モニタリングなどの結果、認証の対象となった森林や漁業では、一定の環境
 改善効果が確認されていますが、このような制度や効果に対する消費者の認知度は、まだまだ低いというのが現実です。
・今後、これらの制度を、生物多様性保全等の有効な方策としていくには、「消費者による認証商品の購入が、生物多様性保全等につながってい
 く」ということを、消費者に分かりやすく伝え理解してもらうことが不可欠である、といったところに出席者の意見が収れんしました。
第15回 H25.2.19 「兵庫県の生物多様性地域戦略とこれを取り巻く状況について」
  講師:服部 保氏(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授、
           兵庫県立大学大学院環境人間学研究科教授、

           兵庫県立人と自然の博物館自然・環境再生研究部長、

           兵庫県森林動物研究センター 主任研究員)
・兵庫県は、20093月に、地域戦略「生物多様性ひょうご戦略」を策定し、以降、この戦略に基づいて生物多様性保全活動を推進しています。
 特色としては、市町や企業、市民団体等の戦略策定を、積極的に支援していることなどがあげられます。(2011年度末までに戦略を策定済みの
 市町は、全国で16、そのうち兵庫県は4

・そのうちの1つが西宮市で、20123月に、「生物多様性にしのみや戦略」を策定しています。その特色は、

 ・具体的な事業を行っている環境学習都市推進課などが戦略を策定したこと、生物多様性保全のための施設が市内に多く存在していたことなど
  により、戦略を実行に移しやすかった。

 ・種子から育てることによって確保した地域性種苗による緑化という、生物多様性保全の中で最も難しいと言われている、遺伝子の多様性をも
  進めている。

などの点です。
 
第14回 H25.1.28

「関西地域の環境市民団体に聞く」
1.「こどもと取り組む矢倉干潟保全活動報告」

  講師:村瀬りい子氏(西淀自然文化協会 事務局長)
 

・神崎川河口の矢倉干潟などでの、干潟保全、こども自然体験、生物調査、環境学習、エコツアーバスなどの活動状況について伺いました。
・こうした多彩な活動を継続していくには、他団体・企業等とのネットワークの構築・活用や、スタッフ・参加者がともに楽しむことができる活
 動の企画などが重要である、とのことでした。
 

2.「信太山丘陵に里山自然公園を」
  講師:花田茂義氏(
NPO法人信太の森FANクラブ 理事長)

・大阪府南部の信太山丘陵を、里山自然公園にすることを目指す、市民団体の取組みについて紹介していただきました。
・地域の市民団体が連携して、市民の集いや、行政への要望活動を継続してきた結果、里山自然公園に関する市の基本方針策定に至ったこと、今
 後は、基本方針の具体化において引き続き市民団体として必要な役割を果たすことや、高齢化に伴う後継者育成などが課題であるといったこと
 を伺いました。
 
第13回 H24.12.4   「汀線の自然史〜渚の生物多様性を守るために〜」
  講師:加藤 真氏(京都大学大学院地球環境学堂教授、同大学院人間・環境学研究科教授)
 植物と昆虫の共生や共進化、渚の自然史、さまざまな生態系における生物多様性の保全などの研究者である講師から、渚の生物多様性について伺いました。その概要は以下の通りです。
・日本は、海岸線が複雑であり、このため海岸環境も多様である等の理由により、世界に誇る海の生物多様性を有してきた。特に河口、干潟、藻
 場、砂浜といったいわゆる渚においては、豊かで特徴的な生態系が形成されており、それが周辺環境の浄化機能も果たしてきた。

・しかしながら、近年、埋立や浚渫、護岸の整備などにより、こうした渚は日本各地で急速に失われつつある。現存する渚を保全し残していくた
 めには、渚の生態系に関する評価手法の確立、それに基づく渚に関わるさまざまな関係者との保全に向けた調整、さらには海の生態系に関する
 教育の充実などを急ぐことが必要である。
 
第12回 H24.11.12 「生物多様性の保全と野生動物の管理」
  講師:
三浦慎悟氏(早稲田大学人間科学部 教授)
 近年、わが国において鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻化していることから野生動物と人間の関係史や、野生動物による農林業被害の現状と対策、今後の課題などについて伺いました。
 その結果、現時点では即効性のある解決策は見い出せていないが、シカやクマを単に加害者とみなしその排除を図るのではなく、野生動物を食料や薬など地域資源として活用したり、科学的知見に基づいて個体数等を管理していくなど、人間との共存につながる仕組みの構築が必要であるとのことでした。
第11回 H24.9.27 「大阪ガスグループの生物多様性の取り組み」
  講師:中村博一氏(大阪ガス株式会社 CSR・環境部CSR室課長)
 
・大阪ガスグループは、「大阪ガスグループ生物多様性方針」に基づき、また地域のさまざまな主体と連携して、
 以下のような幅広い活動を展開しています。

  ・都市ガス製造所での取り組み

   地域性種苗(地元の山林で採取したドングリから育種した苗木)による森づくり、エビネなど希少植物の一時避難場所としての活用など

  ・都心での取り組み

   緑地が多く野鳥の羽休めが可能な集合住宅、フジバカマなど源氏物語に登場する植物を導入した研究施設、本社社屋屋上での緑化とイネ水
   耕栽培実験など

  ・意識啓発・環境教育

   NPO法人との共催による市民向け自然観察会、社員による希少植物の移植など

・こうした取り組みを継続していくには、事業活動と生物多様性との関わりの把握に努め、「いきもの」「地域社会」「企業」それぞれにとって
 メリットがある「トリプルwin」の状態を生み出していくことが重要であるとのことでした。
第10回 H24.2.28

「生物多様性と森林管理」
   講師
只木良也氏(名古屋大学名誉教授、国民森林会議会長) 

 造林学、森林生態学を専門とする只木先生から、農林水産省が200912月に策定した「森林・林業策定プラン」のポイント、生物多様性保全やCO2の吸収・貯留、水源涵養、など森林の幅広い効用、今後の森林管理のあり方について伺いました。
その結果、

・このように有用なわが国の森林を保全していくには、経済林、生活林、環境林の3類別での適切な配置と管理が必要と考えられること

・森林、生態系など豊かな自然環境を支えているのは、生物多様性とそれらに基づく物質循環であること

などが指摘されました。
 
第9回 H24.1.30

「海洋生物の多様性とその保全 〜生物多様性保全のあり方について〜」
   講師:白山義久氏(独立行政法人海洋研究開発機構理事) 

・海洋研究開発機構も参画している国際プロジェクト「海洋生物のセンサス(CoML)」の概要や海洋生物の多様性について紹介していただくとと
 もに、海洋酸性化、深海底鉱物資源開発など人間の活動が生物多様性に及ぼす影響について解説していただきました。

・そのうえで、今後、海洋生物の多様性保全を進めるには、以下の点が重要であるとの示唆をいただきました。
 @大気中の二酸化炭素が海洋に溶け込む「海洋酸性化」が生物に及ぼす影響が非常に大きいと考えられるため、早急に、CCS(二酸化炭素回収
  ・貯留)等のCO2排出削減策実現に向けた努力をすべき。

 A海底熱水鉱床等の海底鉱物資源開発が進み、生物多様性が損なわれる恐れがある中、しかるべき機関が保護区、開発区を明確にし、適切に管
  理していくべき。特に、広大な排他的経済水域を有する日本は、この課題への対応を国家戦略に明確に位置づけ積極的に取り組むべき。
第8回 H23.12.6

「地球温暖化による生物多様性への影響適応策」
   講師:松田裕之氏(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授 

地球温暖化による生物多様性への影響、それに対する適応策とその進め方などについて伺いました。その結果、
・CO2濃度の上昇が地球の気温や生態系に及ぼす影響予測は、その前提条件によってかなり変動するものである。

・気候変動だけでなく、土地利用変化、乱獲、外来種、汚染なども含めた複合的な人間活動が生態系に影響を及ぼす。したがって、生態系自体が
 持つ回復力を保全・復元し、補っていくことが重要である

・気候変動は地球全体の問題だが、生物多様性保全は地域の問題である。このため、地域の自然の恵みを守り、持続可能な使い方をしていく必要
 がある。その際、科学知だけでなく、地域知、伝統知も重要になる。

といった指摘をいただきました。
 

第7回  H23.10.26    「九州大学新キャンパス移転と生物多様性」
  講師:矢原徹一氏(九州大学理学研究院教授)
 福岡市中心付近から郊外への移転を進めている九州大学では、移転先の造成工事において、元々生息していた生物を一種も滅ぼさない「全種保存」という高い目標を設定しています。
 今回はこの取組みに携わってきた矢原教授から、この目標達成のために、事前に徹底した生息調査を行ったうえで、@植物の徹底した保全(森林を土壌ごと移す林床移植など)、A水生生物の徹底した保全(池の引っ越しなど)、B哺乳類の保全・管理(エコトンネルなど)に取り組んだこと、さらには、新キャンパスを舞台に、地域の市民団体と連携してドングリの森づくりなど里山保全活動も推進していることなど、先進的な取組みの全貌を紹介していただきました。
第6回  H23.9.28     「富士通の生物多様性保全の取組み」
   講師:前沢夕夏氏(富士通株式会社環境本部環境企画統括部マネージャー)
富士通グループの生物多様性保全の先進的な取組み、具体的には
 ・グリーン調達における生物多様性保全の取組み
 ・ICTを活用した生物多様性保全の取組み
 ・自社グループの生物多様性保全活動の定量評価(生物多様性統合指標)
等について紹介していただきました。
 こうした活動は、自社グループ内にとどまらず、取引先をも巻き込んだものとなっていますが、その背景に何か特別なノウハウ、特効薬のようなものがある訳ではなく、あくまでも対話等による環境部門から社内外関係者への地道な働きかけがベースになっているということでした。
第5回 H23.2.21 「人間生活と生物多様性保全」
   講師:湯本貴和氏(人間文化研究機構総合地球環境学研究所教授、当フォーラム生物多様性部会委員)
 「生物多様性」という言葉が最近にわかに注目されるようになっています。今回の部会では、原点に立ち返り、「生物多様性」に限らず「多様性」という概念そのものについて「遺産的側面」「機能的側面」「指標的側面」の3つの切り口で整理し、「多様性」が人間生活、文化、そして生物において重要な役割を果たしていることを説明していただきました。そのうえで、このように重要な生物多様性を保全していくためには、それと不可分の関係にある人間生活、文化の多様性の保全もまた重要であるという示唆をいただきました。 
第4回   H23.1.26  COP10を踏まえた今後の国内外の対応と企業等各主体への影響
   講師:鈴木 渉氏(環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室室長補佐) 
 昨年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の結果と今後の国内外の対応の方向性について伺いました。COP10の結果に基づき、わが国でも今後、関連法制度の整備が進められていく予定ですが、企業はこれら法制度の整備を待って対応するのではなく、自ら情報を集めてこれを分析、判断し、生物資源の確保に向けて積極的に手を打っていかないと、将来的に事業運営が成り立たなくなる恐れがあるといった重大な指摘をいただきました。
第3回  H22.12.13  「生物多様性科学ことはじめ」
   講師:川那部浩哉氏(京都大学名誉教授、当フォーラム地球環境100人委員、生物多様性部会座長) 
 川那部座長から、生物多様性研究の歴史をひも解きながら、生物多様性保全における一つの方向性を示して戴きました。現存する生物や生態系は、過去からの相互の関係に基づいて形作られたものであり、ある生物種の絶滅などによって一部で関係が崩れると、その生物種と関係する生物種や生態系も損なわれることになるため、生物多様性保全を進める際にはこうした関係を十分調査することが重要であること、また生物多様性と民族・文明・文化の多様性の相互作用にも着目する必要があることなどを伺いました。
第2回  H22.10.8  企業活動と生物多様性の定量評価(HEP) 〜生物多様性オフセットを見据えて〜」
   講師:田中 章氏(東京都市大学 環境情報学部 准教授)
 生物多様性保全の手法である生物多様性オフセット、生物多様性バンキング、さらには生態系保全の指標であるハビタット評価手続き(HEP)などについてご講演いただきました。欧米で活用されてきたHEP等生態系の定量評価をわが国にも導入し、生態系の現状を把握するとともに、その改善に向けた方策をとることの必要性などについて伺いました。
第1回 H22.7.2  「積水ハウスにおける生物多様性保全活動」
   講師:佐々木正顕氏(積水ハウス株式会社環境推進部部長)

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