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東日本大震災は、日本にとって未曾有の、世界の情勢をも巻き込む大災害となった。これは、一方日本の文化を変える、あるいは創造する時代を画する出来事になる可能性がある。
大地震と巨大津波で原子力発電所の事故による電力不足は、強制的な節電や節電のお願いにより、何とかしのぐことができた。しかし、関東、東北、関西の地域以外では、それほど電力供給は深刻に受け取られておらず普通どおりの生活であったように思われる。大震災が起きるまで、CO2削減目標が至上課題であったが、エネルギー需要をどのように満たすのかに強く関心が高まり、地球温暖化防止やCO2削減への関心がやや薄れた感がする。
震災後の電力不足に対応するために、産業部門は休日や操業時間帯を変更し、駅やコンビニも照明を減らすなど多くの場所で多様な工夫がされた。それでOKであれば、産業部門はコスト削減にもなり今後も定着するだろう。問題は民生部門である。例えば、大阪府域のエネルギーの消費量は年々減少しており、2009年度は対1990年度で2.5%減。産業部門は19.4%減だが、民生部門の家庭部門は18.9%、業務部門は37.3%の増である。全国的にも民生部門の増加の対応策がキーである。
自治体によっては、排出量取引の仕組みを独自に作り、企業の排出量買取により間伐材の活用や森林整備をしたり、地域の商店街や家庭での削減の努力分をCO2削減認証し、商店街の買い物に代えるなど、地域や家庭・個人の削減努力を促している。これまで個人では環境家計簿に取り組んだり、地域や企業で細やかな活動をしてきたところも多い。イメージや地域活性化に有効であるが、実際どれ位減少したのか検証が必要になってきている。
オフィスなど業務用は技術の進展で現在より減るかもしれないが、大規模建築物がさらに都市に林立するにつれ絶対量は上がると予想される。家庭では今回の災害や電力不足で省エネを当たり前の行動にした人も多いだろうが、エコポイントで家電製品や自動車を買い替えた人も多い。経済的支援は効果があったが、やはり“モノ”の変化であり、生活そのものではない。
一度手にした便利さや快適さは、手放しにくい。文明の問題で後戻りできない。それに代わる心や身体を満たすものがあれば、超えられるのではないか。市民のライフスタイルを変えるような生活ができる空間づくり、時間づくり、システムづくりが必要だ。日本の地方や世界の都市の中では、町並みや緑地が十分にあり、歴史を楽しみ、散策やゆっくりお茶や食事ができる空間が創られている。高速道路ではドライブを楽しむ、自転車道ではサイクリングや風景を楽しむ、歩道では歩いて、ベンチでゆっくり楽しむ。という具合に、時間を消費する、時間を楽しむまちに創り直す。公園、道路、水辺、公共空間、言ってしまえば当たり前の言葉になる。生産年齢階層だけのまちから多様な世代が多様な時間を楽しむまちにすることだ。時間を消費し、心身を快適にするには人と場のつながりを創ることも重要である。阪神大震災の直後、まちの高齢化、コミュニティ、ボランティア、ネットワークが大事だと言われた。阪神大震災のときに日本人に起きた変化が熟してきて、今回の東日本大震災において市民の行動に現れたと考える。自ら人と場のつながりを求めて動いたからである。
一方、実際に働いている人々は時間を生み出すしかけが要る。働き方の質を上げる、現実的に効率よく働く方法が要る。そのライフスタイルの変化が実は遠回りだがエネルギー消費の少ない生活や社会になるのではないだろうか。
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